2週間の北小人権週間の間に、いろんな先生が「人権に関する絵本」を読み聞かせてくれる「読書タイム」が4回あります。今日はその3回目でした。人権について、子どもたちにしみじみとじっくり感じてほしい、考えてほしいという願いで、先生たちがそれぞれに「子どもたちに合う絵本」「子どもたちに伝えたい本」を選んで、各教室に読み聞かせに行きます。
でも、これらの本をそれぞれの先生が一から探すのは結構大変です。土日休み返上で図書館に出向き、たくさんの本から「これや!」という本を探し出さなければなりません。
しかし、その心配は無用。本校には学校図書館司書のY先生という強い味方がいてくれます。担当のK先生と連携して、あらかじめ「人権」に関わるあらゆるテーマの絵本を選び、職員室に期間限定の特別な書架を用意してくれます。おまけに、「いじめ」「命」「個性」…などのテーマごとに見出し(差込表示)まで入れておいてくれます。さらには、集めてきた人権絵本の一覧表(リスト)を作成し、それぞれの本の内容(テーマ)と対象学年について、まとめてくれています。
先生たちは、この書架とリストのおかげで、子どもたちにピッタリな絵本を選ぶことができるわけです。本当に「至れり尽くせり」で“ありがたい!”の一言に尽きます。「学級を担任する先生」や「授業する先生」たちだけでなく、子どもたちへの質の高い「教育(学び)」を支えるいろんな職種のスタッフによって、「チーム北小」は成り立っています。いつも北小はこの「チーム力」で勝負します。
私(校長)も、この書架のおがけで、とても素敵な本を見つけることができ、先日、1年生の教室で「わたしのいちばん あのこのいちばん」という絵本の読み聞かせをすることができました。
十分練習して、還暦祝いに娘にデザインしてもらったスタバ風「KANREKIエプロン」をつけて、張り切って教室に乗り込みましたが、読み聞かせポジションで絵本を持った途端…字がよく見えない…いやほぼ見えない…。自分が「老眼」であることをすっかり忘れていました。ストーリーがぶれないように気をつけながら、アドリブで読む羽目になり、子どもたちにも、絵本の作者にも失礼なことをしてしまいました…。
今日は私(校長)の出番はなかったので、読書の時間は2年生教室を覗きに行きました。
1組では、にじ教室(日本語指導)のK先生が「世界の通学路」というお話を読み聞かせてくれました。いつも外国にルーツを持つ子どもたちに、日本語指導や学習支援をしてくれているK先生ですから、常に「世界」を意識していてくれます。「にじ」という教室の名前も、「この教室で学ぶ子どもたちが、世界のいろんな国をつないでくれる『架け橋』のような人に育ってほしい。」という願いを込めて、K先生自身が「にじ」と命名してくれました。
「世界の通学路」という絵本は、いろんな国の子どもたちの通学路や、登校の風景を紹介する絵本です。舟をこいで通学する子ども、道なき道を行く子ども、数十メートルの崖を上り下りしながら通う子ども、学校で使う水を家から水瓶を頭にのせて運ぶ子ども…教室の子どもたちにとっては驚愕の事実ばかりです。自分たちの「あたりまえ」や「ふつう」は、世界の子どもたちにとっては、全然「あたりまえ」でも「ふつう」でもないことを知りました。自分たちの幸せすぎる生活を実感できた子も多かったと思います。
となりの教室を覗くと、教務主任のH先生が、「ピンクがすきってきめないで」という絵本を読んでいました。「女の子らしく、とか男の子らしく、とかいうけど、その『らしく』ってどんなこと?」という内容の絵本でした。H先生は、子どもたちを惹きつけるのがとてもうまくて、どの子もH先生の読み聞かせに聞き入っていました。「どうして女の子は、男の子のものを好きになっちゃいけなくて、男の子は、女の子のものを好きになっちゃいけないの?」と絵本の主人公が親に聞いた場面では、思わず教室の子どもたちから、「確かに!」「そんなんおかしい!」という声が上がりました。好きなものや好きなことに、「男の子らしく」も「女の子らしく」もない…心の中で深くうなずいている様子の子どもたちでした。
絵本の読み聞かせって、学年を問わず、とても大切で、そして効果的な学びだと思っています。「みなさん、わかりましたか?」「はい。わかりました!」みたいな学びでなくて、子どもたちの心にゆっくりと、ゆっくりと沁みこんでいくような学びというか…少しずつ少しずつ、子どもたちにとって大切なことが、ゆっくりだけど、確実に心にたまっていく感じの学びというか…うまく言えませんが、…昔からある言葉に「涵養(かんよう)」というものがありますが、まさに「涵(うるお)しながら養っていく」という言葉がぴったりだと思っています。私(校長)の校門での挨拶や、下駄箱の整頓も、やっぱりこの「涵養」につながっていればいいなと願いながら、毎日続けています。少しずつ少しずつ、子どもたちの心に沁みこんでいくことを願いながら…。