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2024/11/20

「谷川俊太郎さんを偲んで」~写真なしのブログですが…~

Tweet ThisSend to Facebook | by 校長

今日の朝も気温が低く、寒い朝になりましたが、昨日みたいに“北風びゅんびゅん”ではないので、体感的にはあまり寒くありませんでした。今日は、低学年の子たちに「校長先生の手、温めてあげよう。」と言われなくていいように、ちゃんと手袋をして子どもたちの登校を迎えました。

みんなより少し早く登校した6年生のSNさんが、校門の門扉の溝にたまったゴミや砂を見つめ、しばらく指で集めた後、掃除用具倉庫からほうきや塵取り、溝からゴミが掻き出せるような細めの棒をもってきて、一人でせっせと掃除し始めました。たくさんの子どもたちが校門をくぐっていく中、一人で黙々とゴミや砂を掻き出し、塵取りに集めてくれました。

ずいぶん前に、一度だけSNさんに「暇やったら溝の砂を取ってくれるか。ほうきや塵取り用意するし、お願いしていい?」と頼んで、掃除をしてもらったことがあるのですが、SNさんはその時のことを鮮明に覚えているのでしょうか、今日は自分ひとりですべてを完結してくれました。SNさんの奉仕の心、自主性、行動力がとてもうれしくて、とても気持ちのいい朝になりました。

 

ところで、今日の朝刊の一面にとても悲しい記事を見つけました。「谷川俊太郎さん死去」…。悲しいことですが、老衰のために亡くなられたということで、心には「今まで数々の素晴らしい作品(詩)をありがとうございました。たくさん楽しませてもらいましたし、生きるということについて、たくさん考えさせられました。本当にありがとうございました。」という感謝の気持ちも大きい気がします。

谷川俊太郎さんの作品は、今まで国語の教科書にたくさん載っていました。また、子どもたちと音読を楽しむために谷川さんの作品をよく読みました。特に、「ことばあそびうた」という、ひらがなだけでかかれたリズミカルな詩に子どもたちは夢中になり、早口言葉のように、何度も何度も口ずさみ、延々と唱え続けるほど人気の詩でした。

 

ののはな  はなののののはな はなのななあに なずななのはな なもないのばな

 

かっぱかっぱらった かっぱらっぱかっぱらった とってちってた

 

いるかいるか いないかいるか いないいないいるか 

いつならいるか よるならいるか またきてみるか

いるかいるか いないかいるか いるいるいるか 

いっぱいいるか ねているいるか ゆめみているか

 

平仮名ばかりで読みにくいことこの上ないのですが、一度覚えてしまうと、そのリズミカルで、まあるくやさしい言葉の響きの虜になります。いつの時代も子どもたちが大好きな詩です。

それから、前まで6年の国語の教科書に載っていた(今の東京書籍の教科書には非掲載、光村図書の教科書には現在も載っている)『生きる』という詩は、卒業を間近に控えた6年生の心に強烈なインパクトを与えました。どの子にとっても、生まれて初めて「生きる…生きているとはどういうことなのか。」を真剣に考える機会になったはずです。

 

生きる        谷川俊太郎

 

生きているということ  いま生きているということ

それはのどがかわくということ  木もれ陽がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ  くしゃみすること

あなたと手をつなぐこと

 

生きているということ  いま生きているということ

それはミニスカート  それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス  それはピカソ  それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そして  かくされた悪を注意深くこばむこと

 

生きているということ  いま生きているということ

泣けるということ  笑えるということ  怒れるということ  自由ということ

 

生きているということ  いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ  いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ  いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ  いまいまが過ぎてゆくこと

 

生きているということ  いま生きているということ

鳥ははばたくということ  海はとどろくということ

かたつむりははうということ  人は愛するということ

あなたの手のぬくみ  いのちということ

 

第1連では「生きているとは生体反応である」、第2連では「生きているとは美しいものに出会うこと、そして隠れた悪をこばむことである」、第3連では「生きているとは感情表現を自由にできることである」、第4連では「生きているとは他者と世界を認識することである」そして最後、第5連では「生きているとは命そのものであり、それぞれの命はみなつながりあっていること」が、淡々と「~ということ」という語りで綴られていきます。

この詩は、子どもだけでなく大人にも、生きることの意味を問い直し、心の豊かさを取り戻す機会を提供してくれる貴重な作品と言えます。生きていることの有難さを、改めて感じさせてくれるすばらしい詩だと思っています。谷川俊太郎さんの詩からは、本当にいろんなことを学ばせていただきました。

謹んでご冥福をお祈りいたします。


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