昨日、今日ととても寒い日が続いています。朝、校門に立っていると、鼻水は出まくるし、耳はちぎれそうになります。寒いのがとても嫌いな私(校長)です。でも寒い朝は空気が澄んでいて、遠くの景色がとてもきれいに見えるので、「冬の朝もいいな…。」と時々思います。今日も、伊吹山がなんとも鮮やかに美しく輝いていたので、しばし見とれていました。

子どもたちの登校を「あいさつ」で迎えていると、ある女の子が、「校長先生、さっき玄関のところでムクドリを見ました。」と報告してくれました。春や夏の「生きものが活発な季節」には、やれダンゴムシだの、カナヘビだの、たくさんの子どもたちが「生きもの」について話しかけてくれるのですが、冬になるとほとんどそんな会話はなくなります。それだけに「ムクドリを見ました。」という言葉は、とても新鮮な気持ちがしましたし、「そうなんや。ムクドリってちょっと大きい鳥やん。」と言うと、「体長24cmくらいです。」と即答してくれたことにちょっと感動すら覚えました。ちなみに、ムクドリは、スズメとかに比べると大柄で、黒や茶色の体色に白がちょこちょこ混じります。見分けるポイントは「くちばしと足がオレンジ色(黄色)」なところです。

さて、今日は4年生の「もりのこ学習」の最終日でした。昨年5/15の「春のもり探検」に始まり、6/27「水辺調査」、10/9「秋の森探検」、10/30「竹細工」、11/29「やまのこ森林学習」、12/11「焚火」、12/12「もりのこ学習発表会」、そして今日2/6「冬の森探検」の年間7回の「もりのこ学習」展開してきました。
今日、冬枯れの森に入った子どもたち。どんぐりの木などの落葉樹はすべての葉を落とし、いかにも寒々しく眠っているような森の風景でしたが、「ミクロの目」で細かくよーく見ていくと、そこには「目立たないけど力強い生命の営み」や「直向きに春の訪れを待つ、忍耐強い春への準備」の姿が垣間見えてきました。
落ちているどんぐりをよく見てみると、頭から「根」を出し、地面に突き刺すように、地中に根を伸ばしている様子が見られました。水辺には魚やサワガニなどの生きものはすっかり息をひそめてしまいましたが、石をひっくり返すと、カゲロウやカワゲラの幼虫であるカワムシやトンボのヤゴたちがが、元気に動いていました。



私(校長)が個人的に感動したのは、高校生の時以来、実に43年ぶりに「プラナリア(ナミウズムシ)」を見られたことでした。子どもたちは小さなヒルのような水生昆虫に、さほど興味が湧かなかったようですが、私が「なあ、知ってる?この『プラナリア』ってやつは、体を真ん中でちょん切ると、頭の方からはしっぽが生えて、しっぽの方からは頭ができてきて、2匹に増えるんやで。」と説明してあげると、「なんなんそれ!残ってるしっぽから頭が出てくるって、どういう生きもの?」と驚きのリアクション。自分たちが見つけた小さな「発見」は、少し知識が足されるだけで大きな「びっくり(驚き、感動)」に変わります。ここで「心が動く」わけです。
今日の冬探検は「生きもの」見つけだけではありません。せっかく出てきた「小さな芽」がしっかり育つように、上にかぶった枯れ葉をかいて、お日様があたるようにしてあげました。また、冬の自然の「芸術作品」のような、きれいででっかいメガ級の「霜柱」を見つけたりできました。


今年度最後の「もりのこ学習」にふさわしく、子どもたちにとってたくさんの発見がありました。でも、この「もりのこ学習」が「発見」と「驚き・感動」だけで終わっていては、本当に「値打ちのある学習」にはなりえません。「発見」→「驚き・感動」…その次に「なぜ?(疑問)」が生まれないと、そのあとの「探求」にまで続かないのです。「発見」→「驚き・感動」→「なぜ?(疑問)」→「探求(調べる)」→「比較・検討」→「まとめる」→「表現する」→「新たな疑問や関心」…のサイクルを繰り返すことで、子どもたちに「これからの社会を生き抜く生きる力」としての「課題設定力」や「問題解決力」を育てていくのが学校の仕事です。
今日、少し嬉しかったのは、ちゃんと「地図」を見て、現在地を確認しながら森の中を散策する子どもたちが少しいてくれたことです。残念ながら、ほとんどの子は、「地図」が読めません。正確に言うと「地図」を見ようとしません。自ら「地図」が読めなくても、「大人に聞く」と言う方法と、「みんなについていく」という他力本願力?で、なんとなく行動(森を散策)していきます。そんな子どもたちの姿には、やはり少し「危機感」を覚えてしまいます。これも「便利すぎる世の中」の代償かもしれません。

河辺いきものの森の展示コーナーには、こんな言葉が書かれていました。
「心にタネをまき、育てたい…森に入ると土の感触や風の音、花の匂いに心が躍る。子どもたちは森での発見、驚き、チャレンジを通して喜びや楽しさを感じています。このような心の動く体験が、豊かな心や自然を大切にする心を育んでくれると確信しています。」
河辺いきものの森の指導員やスタッフの皆さんの全面バックアップにより、豊かな自然の中で、心が躍る豊かな体験=「発見」→「感動」をさせていただいています。この「心が動く体験」をもとに、それを「頭が動く体験」=「疑問・課題意識」→「探求」→「表現」につなげていくのが学校教育の使命です。この「探求的学習」こそが、「総合的な学習の時間」のねらいです。