11月に入り秋らしい日が続いています。今週は明日から5年生のフローティングスクールがあるので、なんとか安定した「秋晴れ」を期待したいところです。
前回から始まった「校長の図工作品解説シリーズ」。今日は中学年の作品を紹介したいと思います。
最初は3年生の作品です。ネットの生きもの図鑑等を参考にしながら、「好きな虫をドカーンと描いてみた!」的な作品づくりです。絵の「主役」がはっきりしていますから、そこは細部までしっかり描きこんで、色付けも丁寧にしていきたいところです。難しいのは背景の処理です。主役の虫は図鑑を見てしっかり描写しましたが、その虫を「どんなところ(世界)」に置くのかは、子どもたちの想像力にかかっています。あまり具体的なものを、あれこれと欲張ってがっつり描きこむと、せっかくの「主役」がぼけてしまいます。主役が引き立つように考えながら、水彩絵の具のよさを生かして、透明感のある背景に仕上げたいところです。写真の絵は、下手をすると画面を汚してしまう「黒色」を使いながらも他の色とのバランスを考えて、すっきりと楽しい世界を描いています。何よりも「主役」がしっかり主張できているのがいいなと思います。
次は4年生の作品です。「虫眼鏡を覗いてみたら・・・」みたいなテーマでしょうか。私(校長)の経験則ですが、中学年の発達段階として、「細かなものを、画面を敷き詰めるようにいっぱい描きこむ」というのが得意な特性があるような気がします。根気よく、丁寧に描きこんで、自分の世界を広げていくというようなイメージです。そういった意味で、写真の作品は、その特性をうまく活かせた作品だと思います。思わず虫眼鏡の中の世界をじっくり覗き込みたくなります。そして、たくさん描きこまれた小さな一つひとつをじっくりと眺めていると、子どもたちが楽しんで「虫眼鏡の中の世界」を描き広げていった気持ちがよく分かります。また、4年生ですから「虫眼鏡」の描写や、それを持つ「手」の描写は、稚拙にならないようにしっかりとよく見て描きたいところです。
子どもの絵の作品というのは、描きたいもの=「主役」が、“ば~~ん!”と明確になっているものが迫力があって素敵だと思いますし、子どもが楽しみながら描いている風景や気持ちが見えてくるような作品が「子どもらしく、子どもにしか創れない」魅力的な作品だと思います。