昨日は中秋の名月、夜中にはきれいなお月様と、心地よい虫の音で「秋」を感じることができていたのですが、朝になって、校門で子どもたちを迎える時間になると、また「真夏」が戻ってきます。
「おはようございます。」とやってくる子どもたちは、もうすでにサッカーを1試合してきたかのような、汗だくの表情です。
8時半には、熱中症指数は30℃近くまで上がり、運動場での練習も厳しい状況なってきました。
1校時は4年生がリレーの練習をしました。走順の確認、バトンパスの仕方、コーナートップ等のルールの理解…しっかり時間をかけて練習したいところですが、「暑さ」がそれを許してくれません。短時間集中、「一回通すだけ」の練習時間しか確保できませんでした…。「もっとリレーの練習がしたい!」という子どもたちの表情と「こんな状態で満足いくリレーの競技ができるのか気持ちが焦りだす…。」という先生たちの表情…でも「安全が第一」、気持ちを切り替えて校舎内に入りました。子どもたちも分かってきています。「短時間で、集中して練習するしかない!」だんだんと子どもたちの動きが、てきぱきしてきます。
3校時は、運動場で初めての全校練習をする予定でしたが、「暑さ」には勝てず、予定を変更して体育館での練習に切り替えました。「入場」や「開会式」の流れについて確認しました。運動会全体の仕切りは体育主任のT先生です。「どの子も目標とやりがいをもって取り組み、大きな達成感や自分の成長を実感できる、『子どもが主人公』の運動会にしたい。」という熱い思いを胸に子どもたちに語りかけます。
全校が集まった時の子どもたちの「意識と言動」は本校の自慢です。学年を問わず私語もなく、背筋をしゃんと伸ばして臨める子が多いです。「ここは、ちゃんとビシッとするところや。」とちゃんとわかっている子どもたちです。
私(校長)にも、少し話す機会(校長挨拶)をもらったので、いつものように「ちょっと笑わせる歌でもかましてやろう!」と思っていたのですが、私が話す前に、T先生が子どもたちに「開会式・閉会式は気持ちを落ち着けて、きちんとした態度で臨みましょう。」と話してくれるのを聞いて、「危ない…もうちょっとで、校長自らふざけてしまうところだった…。」と思いとどまり、反省する私がいました。
別の時間…高学年が組体操の大技(多人数でつくる技)の練習を始めました。組体操については、何年か前から、組体操での「事故防止」の観点から、運動会で組体操自体に取り組まなくなった学校や、やっても1人~3人技ぐらいの安全な技に留めておく学校が増えました。
本校も「事故防止」、「安全」を第一に考え、従来のような「4段塔」や「5段ピラミッド」などの危険性の高い技はしませんが、組体操に取り組む値打ち…すなわち、「人の重み(=命の重み)と温かさを肌で感じながら、心を一つに、支え合いながら一つのことを成し遂げる達成感と一体感」を感じるために、「高さ」や「重さ」を限定し、安全に十分留意しながら、組体操に取り組んでいます。
写真は、5人で作る技ですが、土台の者は、上に乗る者の体重をぐっと支え、上に乗る者は、土台を信じて、勇気をもって体を伸ばし、腕を開きます。土台がぐらつくと、上の者はバランスが崩れますし、上の者が怖がって体が揺れると、土台は支えられなくなります。「力」と「バランス」と「仲間同士の信頼」が不可欠です。
今日の練習では、ほかのチームが心配して、サポートに回ったり、応援したり、拍手をしたりする場面が見られて、「これがこの6年生の温かい文化」なんだな…と改めて感じました。
「力(忍耐)」と「バランス(勇気)」と「仲間同士の信頼」が揃ったとき、技が決まり、会場からの大きな拍手に包まれながら、体の奥底からこみあげてくる達成感や一体感を感じることができるでしょう。
そんな感動がたくさんたくさん生まれる運動会にしたいなと心から思います。
北小のすべての子どもたちが、笑顔で締めくくれる運動会に…