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2024/12/11

火はつけるものではなく、育てるものです 4年生もりのこ学習最終日

Tweet ThisSend to Facebook | by 校長

今日は朝からお天気にも恵まれ、4年生が気持ちよく最後の「もりのこ学習」を楽しむことができました。一年を通じて何回もお世話になった「河辺いきものの森」。今日もスタッフ総出で子どもたちに貴重な体験をさせてくださいました。

最後のもりのこ学習は、「森林の恵み」である落ち葉や小枝、間伐や下草刈りで切った木や枝、そしてそれらを使って作った木炭などを使って、自分たちでかまど(BBQグリル)に火を起こし、炭に火を移し、最後はその炭火でウインナーソーセージをあぶり焼きにして食べるという体験学習です。実にシンプルで、目的が明確です。

現代の子どもたちは、家族でBBQをすることはあっても、森にあるものを使って一から火を起こす経験はほとんどしたことがないと思います。マッチを擦ることすら今までしたことがない子がいたかもしれません。石油ファンヒーターのスイッチを押せば…、ガスコンロのつまみさえ回せば「火がつく」便利な生活…いや、今やエアコンやIHが主流ですから家の中に「火」や「炎」はもう存在しないかもしれません。


そんな時代の子どもたちが、自然のものだけで火を起こす…それは簡単なことではありません。「何から始めたらいいのか。」「焚き付けや薪(たきぎ)を、どういう順番で、どんなふうに組んでいくのか。」、「マッチの火は、どこに着火するのか。」、「そもそもマッチはどうやって擦る?」、「どこをどう煽げば、火は大きくなり、何をどうすれば炎を落ち着かせることができるのか…。」…。私(校長)のような昭和の人間にとっては「あたりまえ」、「日常茶飯事」のことですが、子どもたちにとっては「未知」のことだらけです。小学校高学年の理科の知識があれば少しは「科学的」にチャレンジできるかもしれませんが、4年生にとっては「試行錯誤」しかありません。

 

いきものの森の「火の神様」の助けも借りながら、どこの班もなんとか無事に火起こしと炭火づくりができたようですが、ここまでくるまでに子どもたちは、けっこうな「試行錯誤」を繰り返したと思います。「ソーセージを焼いて食べる」という明確な「目的」があるからこそ、火をつけるという「課題」に対して、粘り強く「試行錯誤」ができます。やはりこれが「学び(学習)」の本質です。

一から火を起こすには、まず焚き付けとして、杉葉や枯れ葉が必要で、その上に小枝を空気が入るようにすき間を開けながら置きます。マッチで杉葉等に火をつけ、そうっと息を吹きかけて、小さな炎を少しずつ大きくし、小枝に火が移るようにします。その後、小枝より少し太い枝を上に組み、下から空気を送り込むように団扇で煽ぎ、しっかりと枝に火をつけます。最後にしっかりした太い薪(たきぎ)に火がつけばOKです。「火を起こす」というのは、何か簡単で手っ取り早い方法があるわけではないので「火をつける」というよりも、小さな火種から少しずつ大きくしていく…いわば火は「少しずつ大きく育てていく」という感覚が大事だと思います。


無事に炭に火が起こせて、お待ちかねのソーセージの焼き焼きタイム。一人1本半のソーセージを大事そうにじっくりじっくり焼いていきます。「まだかな…もういいかな…。あ~でももうちょっと焦げ目つけた方がおいしいかな…。」心の中で葛藤しながら、どこかで踏ん切りをつけて「パクッ!」。

「あ~美味しい!家で食べるより断然美味しい!」…子どもたちの満面の笑みが広がります。

 

現代の生活の中で、直接火を扱うことはほとんどなくなりましたが、やはり「火」は人類の進化の「真ん中」にあるものだと思います。「火」で暖をとり、「調理」をし、巻きが燃える「音」や炎がめらめらと揺れる「揺らぎ」に癒されて…数千年数万年。「火」の恩恵と必要性は、もはや人間のDNAに組み込まれているのでは…と考えたりします。

 

「火」がとても有用なものであることを学ぶ半面、「火」はとても危ないものであることも学んだ今日の体験学習。子どもたちの心に残る意味ある体験になったと思います。偶然ですが、今日の給食のおかずは「ソーセージ」でした。4年生の子どもたちにとって、どっちの「ソーセージ」が美味しかったのか…“言わずもがな”ですね。



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