今日は4年生が、河辺いきものの森に「もりのこ学習」に出かけました。「秋の自然を探求する」というのが今日の学習の目的だった気がします。
そもそも「河辺いきものの森」は、もともとは愛知川の川沿いに広がった「河辺林(かへんりん)」です。「河辺林」というのは、そこで生まれる植物や樹々、農作物が人々の生活と深く結びついていた「里山」としての役割と、川の氾濫(洪水)の被害をくい止める「防災林」の役割があり、人々の手でその自然は大切に守られてきました。ところが、人々の生活が変化して、「里山」の自然をあまり必要としなくなったため、「河辺林」は放置状態となり、保たれていた生態系は崩れ、やがて生命力の強い竹林に覆われ、荒廃していきました。
そんな荒れた「河辺林」を昔のような「里山」に戻そうと、心ある人たちが長い時間をかけて整備、保全してくださり、今の「河辺いきものの森」になったという経緯があります。「河辺いきものの森」で自然について学習するというのが主たる目的ですが、別の角度から考えると、この地域の宝である「里山(河辺林)」について知り、その魅力を実感し、これからもその「里山」を守っていくという心を育てることもとても大切な学習の目的になります。
今日は、子どもたちが「探検地図」をもって、「秋の自然」を探索に行く学習です。それぞれがタブレットをもって、見つけたもの、興味を持ったものを写真で記録していきます。
服装は長袖、長ズボン、そして長靴。今日の「いき森」に入るには必須のアイテムです。担任の先生の指示ですが、本当は、なぜこの「服装」でないとだめなのかを自分たちで考えられる、判断できる力をつけてほしいと思っています。いわゆる「危機回避能力」です。子どもたちからすべての「危険」を事前に取り除くことは不可能です。これから生きていくうえで大切なのは、「何が危険なのか。」、「なぜ危険なのか。」、「その危険を避けるためにはどうすればいいのか。」を自分で考えることが大切だと思います。そういう意味で「もりのこ学習」は「安全教育(学習)」としての側面も持っています。
今日の場合、一番の危険は何か?・・・大きく3つ。秋とはいえ、まだまだ気温が高いので、「スズメバチ」の活動が盛んであること、今は「マムシ」の繁殖期で、とても神経質になっていること、雨上がりで特に「木(橋、木道等)の上」が非常に滑りやすいこと・・・です。
そのことを考えると、今日の「服装」が見えてきます。例えば、長靴を履いていれば、万が一「マムシ」を知らずに踏んづけても、「マムシ」は体調が短いので、鎌首を持ち上げたところで、足をかまれることはありません。ハチや蚊、「ウルシ」などの有害植物から身を守るためには長袖、長ズボンは必須です。今日、黒い服を着ている子が結構いましたが、本当はあまりよくありません。「ハチ」やムシは「黒」によってきます。
子どもたちは、興味を持った植物やムシたちを写真に収めていきました。「いき森」の井田先生が、しっかりと安全を確保しながら、「スズメバチ」の観察もさせてくださいました。「危険」をきちんと教われる貴重な経験でした。
教室に帰ってから、自分たちの「タブレットに収めてきた生きものは何なのか?」について、ネットなどで詳しく調べていました。
これからは、自分の興味を持ったテーマごとに、自分で探求学習を進めていきます。テーマは、①森にすむ動物・虫等について②森に自生する植物について③森(の自然)の役割について④森(の自然)を守ることについて、の4つです。自分でテーマを選びます。子どもたちがどんなところに「関心」をもち、どれだけ自分の考えを深めていけるか…楽しみです。
話は変わりますが、3階の廊下から運動場を見下ろすと、一人黙々とロープを張る作業をするH先生の姿がありました。「ロープ張りはH先生の仕事」と決まっているわけでもないのに、H先生のように少しの隙間時間に人知れず「仕事」をしてくれる先生が多いのが本校です。
そして大切なことは、その「人知れずの仕事」を周りの者(教職員)がきちんと知っていることだと思っています。いろんな「隙間の仕事」は、できる人、それに気が付く人がやればいい・・・ただそのことをみんながきちんと知っていることが大事で、そこにお互いに「感謝」の気持ちが生まれ、組織の「同僚性」が高まり、結果として強力な「チーム力」=「学校力」が発揮できる…そんな北小の先生たちです。
H先生、本当にいつもありがとうございます。