昔から冬場の運動と言えば、「縄跳び」と相場は決まっていました。「なぜ冬場に?」と改めて考えてみると、「外遊びがしにくくなる季節でも縄1本あれば、どこでも気軽にできる運動だから。」、「単純だけれども運動量が多く、寒い中でも効率的に体温が上げられ、体力づくりにぴったりだから。」…そんな理由が思いつきますが、よくよく考えてみれば「縄跳び」という運動は、じつに「効果」がたくさんある運動であることに気づきます。
なわとびは体の47種類ほどの筋肉を使う全身運動らしく、特に上半身をまっすぐに保って跳ぶことで、下半身と体幹を鍛える体幹トレーニングとして最適です。当然調子よく跳び続け、跳躍に合わせてタイミングよく縄(腕)を回転させることでリズム感やバランス感覚、協調運動能力が鍛えられます。もちろん、有酸素運動ですから持久力や心肺機能も高められるわけです。
こんなにいいこと尽くめの「縄跳び運動」ですが、本校の子どもたちの中では、そんなに盛り上がっている感じはありません。学校によっては、冬場は、休み時間になると全校がひたすら「縄跳び」に燃えるような雰囲気がありますが、これも「校風」というか「伝統」的な要素が強いのかもしれません。運動会と一緒で、高学年が「めっちゃ縄跳びがうまい!すごい技をする!」というような「憧れ」の姿を示せると下学年がそこをめざして頑張る…みたいな運動文化が生まれるのかなと思います。
さて、今日の3校時、1年生が初めて体育での「縄跳び」を始めました。1年生の子どもたちはそれぞれに縄跳びと「縄跳びがんばりカード」を携えて体育館に集合しました。
1年生は教室でも体育館でも、「授業規律」がきちんとしているのが、いつもいつも気持ちいいです。「これから体育の学習を始めます!」の当番の元気な声で始まり、「はい!お願いします!」「お願いします!」という気合の入ったコマンドから授業を始めます。三角座りで説明を聞く姿勢も、先生の手本に合わせて、きちんと準備体操する一生懸命さも、本当に素晴らしいです。どうかこんな「真面目さ」や「一生懸命さ」が、学年が上がってもダレることなく、学習の「規律・文化」として継続させていってほしいと心から願います。
1年生の子どもたちは、園時代から「縄跳びあそび」をしてきたので、縄跳びが全く初めてという子はいないと思いますが、小学校では、「自分のめあて」や「できるようになりたい技」を明確に持って、ある程度「長く跳び続ける」ということも大事に「縄跳び」に取り組みます。そして、自分の頑張りの足跡を「なわとび頑張りカード」に残していきます。
1年生の縄跳びで大事なのは、まずは「縄の長さ」です。縄の真ん中を踏んづけて、縄の持ち手を体(胴)につけたときに、持ち手の高さが「おへそ」くらいから「乳首」の間くらいになるように調節します。それ以上長いと、縄が回しにくく、腕全体を回したり、脇を開けて縄を回したりするような跳び方になるので長く跳べませんし、縄を速く回せません。また、短すぎるとストレート系の技(前跳びや二重跳びなど)は跳べても、クロス系の技(あやとびやつばめ返しなど)がやりにくくなります。まずは、「縄の長さ」をきちんと自分に合う長さにすることが大切です。
早速今日から、3人一組になって、お互いの跳んだ回数を数え合って、跳べた数を「なわとびがんばりカード」に書き込んでいました。跳んだ数を正確に数えることも、カードの記入の仕方も1年生には結構な「学習」になります。
縄跳び運動は、1分跳んだだけでかなり疲れますし、新しい技をマスターするためには、根気強く粘り強く練習を続けないと上達しません。いっぱいいっぱい練習して、やっと新しい技が跳べた時の喜びをどの子にも味わってほしいなと思います。大人になった今でも、初めて「二重跳び」や「三重跳び」ができた日の嬉しさはよく覚えているものです。
今の時代の子どもたちにとっては、「単純」「しんどい」「継続しないと上達しない」というような運動は魅力が薄いのかもしれませんが、こんな時代だからこそ、「自分を鍛える」、「しんどくても粘り強く続ける」という力を、縄跳びを通してつけていってほしいなと願っています。