お金とかあちゃん
これは長野県大町小学校三年生の女の子の作品です。
「とうちゃん、かあちゃんとお金と、どっちがいい」
「そりゃ、かあさんさ」
ととうちゃんがいった。
「一おく円でも」
「うん」
「百おく円でも」
「かあちゃんはお金にかえられない」
「ほんと」
かあちゃんとけんかして、おいだそうとしても、心ではそう
思っているんだなあ。
私は胸がいっぱいで、
「やっぱり」
といって、肩をたたいてやった。
(学級文集「なかま」)
1億円なら売ってもよい、などと、父親はついうっかりじょう
だんのつもりで言ってしまいがちなのですが、この父親はそうで
はありません。
子どもがまっすぐ直線的に質問をしてくるのに対して、このお
父さんもまっすぐに答えています。
こういう父親の態度は実にりっぱですばらしいのです。
子どもの質問を軽くあしらったり、肩すかしをくらわせたり、
皮肉な言葉で答えたりするのは絶対禁物です。
この子はきっとふだんから母親のことを大事に思っているのに
違いありません。
そんな大事なお母さんのことを、お父さんも大事に思っている
かどうかを確かめたかったのでしょう。
お父さんのしっかりした返事を聞いて3年生のこの子はどん
なに安心したことでしょう。