文科省の海外派遣でスイスのチューリッヒを訪れた時のことです。
夕食は各自で取ることになり、数人と一緒にホテル近くの店に行きました。
どんな店があるのかと、数軒を外から眺めながら歩いていましたが、パスタと
ピザのお店がありましたので、これなら我々にも慣れた味だということで店に
入っていきました。
店にはイタリアの人が先に入っていました。イタリアの人は陽気で楽しい国民
です。
そこで食事をしている人びとも、実に楽しそうでした。しばらくすると、ギターを持
ち出して歌い始めたのでした。その人たちは大きな声で歌ったり、笑ったりして、
そのうちに酔った男の人が、私たちのところにもワインをつぎに来てくれました。
私たちの食事は、たいへんな騒ぎの中でしたが、とても楽しいひとときでした。
研修旅行の最終日に、パリのシャンゼリゼのお店で本場のフランス料理を食べ
ようと言うことになり出かけていきました。
フランスでは、食事のとき大声でしゃべったり、歩きまわったりする人は見かけ
ません。
静かに、それでいて楽しそうに、ゆっくりと食事を楽しんでいました。
私はそのとき、食事というものは、お国柄によって、あんなに違いがあるものか
と思いました。
そのあと、日本人の観光客が大勢入って来ました。
ところが、そこで恥ずかしくなってしまいました。なぜかというと、その日本の観
光客は大声で話すし、また食事の出方が遅いとか、水がないとか、不平をいっ
ているし、ガチャガチャ音を出して食べているのです。
フランスの人は昼食を1時間半から2時間もかかって食べるのです。
日本人のように15分や20分で急いで食べるなんてことはありません。
また、フランスでは食事のときに水を飲むことは、ほとんどないのです。
食事の仕方は国によって違います。フランス人の仕方だけがよいともいえない
でしょうし、イタリア人の仕方だけがよいともいえないでしょう。
しかし、どこの国でも、他人の迷惑になるような態度をとったり、あわてて食べ
たりはしません。
学校で給食の時間はあまり多くとれません。しかし、少しでも食事の時間が多
くとれるように、配膳や片付けのくふうをしたいものです。そして、人に迷惑をか
けないで楽しく食事ができるような態度を身につけていくようにしたいものです。
それはただ食事のマナーというだけでなく、健康にもよい、合理的な食事のとり
方だと思います。
これからの時代、子どもたちは外国に出かける機会も多くなることと思います。
世界の国々の中で、恥じることのない食事のマナーだけは身につけておいて
ほしいものです。