長かった44日間の夏休みが終わり、久々に子どもたちの元気な笑顔が、学校に戻ってきました。「さあ、始まるぞ~!」って感じで、ハイテンションで登校してくる子はなく、逆にあからさまに「だる~…」って感じでうなだれてくる子もなく、びっくりするくらい「普通」に、「平常通り」に登校してくる子どもたちでした。「元気がない」という感じでなく、「落ち着いている」…そんな感じを受けました。
それぞれの教室の黒板には、担任の先生が書いた「みんな おかえり!」の文字が、子どもたちを温かく迎えてくれます。
迷走しっぱなしの台風10号は、熱帯低気圧に変わり、本市には大きな影響もありませんでしたが、やはり「酷暑」はすぐに戻ってきて、まだ朝の早い登校時間でも、直射日光のもとでは、かなり厳しい暑さでした。2学期の始業式は、熱中症や感染症のことを考え、大事をとって各教室でのリモート始業式にしました。全校が一堂に会せないのは淋しい気がしましたが、保健のH先生の「暑さ対策と感染症対策」の大切なお話もあったので、暑さに耐えながら聞くのではなく、涼しい教室で集中して聞けたので、それはそれでよかったと思いました。
2学期最初の校長ブログは、始業式での「校長の話」を載せさせていただきます。
『 この夏休みにはいろんなことがありましたね。前半は、パリオリンピックにくぎ付けになりテレビばかり見ていました。8月8日には宮崎県沖で大きな地震があり、南海トラフ巨大地震に関しての臨時情報が発表され、日本中が地震発生を心配しました。夏の甲子園、高校野球では北小の校区にある滋賀学園高校が大健闘しました。野球だけでなく、「滋賀学の応援」が話題になり、その活躍がなんだかとても誇らしかったです。逆にとても悲しい事故もありました。夏の終わり、東近江市内の中学生が水の事故で亡くなりました。将来のある若い、若い命が奪われました。ご家族や学校の仲間の気持ちを思うと、やりきれない気持ちになります。心からご冥福をお祈りします。
さて、オリンピックの話に戻しますが、今回のオリンピックでは、「日本のお家芸」とよばれる柔道や体操、レスリングだけではなく、フェンシングや馬術、それにスケートボードやブレイキンなどの新しい競技でも、日本選手がたくさんのメダルを獲得し、大活躍しました。オリンピックをテレビで観戦し、競技する選手の姿にたくさんの感動をもらえた人もいたのではないかと思います。校長先生も、様々な競技に声援を送り、選手の競技する姿や試合後のインタビューの姿に感動し、学ばせてもらうことがたくさんありました。校長先生が大切だなと改めて思った三つのお話をします。
●一つ目は「好きなことに挑戦し、自分の可能性を広げる」ということです。
スケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した中学3年生の吉沢心(ここ)さんは、6年生とは3歳しか年が離れていません。自分が小6だった3年前の東京オリンピックで、メダリストの技が、自分が普段やっている技であることに驚き、自分も競技に出てみようと思ったというエピソードがあります。誰にとっても自分がとことん熱中して取り組んでみることが、将来の自分に大きな影響、大きな夢を与えることになる、自分自身の可能性を広げることにつながるのだと改めて感じました。
●二つ目は、「諦めない」こと、「全力をつくす」ことの大切さです。
勝負には勝ち負けがつきものです。たとえ勝つことができなくても、最後まで諦めることなく必死に競技する姿に心を打たれました。改めて、メダルを目指すこと、勝つことが全てではなく、最後まで全力を尽くすこと、自分が一つ一つの試合とどのように向き合うかが大切であると思いました。試合後、勝ち負けに関係なく、お互いの「全力」「健闘」を称えあう選手の姿に心を動かされました。
●三つ目は「感謝の気持ちを表す」ということです。
競技の後のインタビューやSNSへの投稿のなかで、選手自身を支えてくれたスタッフ、共に戦ってきた仲間や、家族に対しての感謝の言葉が心に残りました。たくさんの感謝の言葉の中で、校長先生が一番感動したのは、この人の言葉です。それは、卓球女子団体の銀メダル、女子個人銅メダルを獲得した、早田ひな選手です。
早田選手は、女子個人戦で痛めていた左腕の状態が悪化し、ラケットも持てない状態になってしまい、一時は出場が危ぶまれましたが、早田選手自身はもちろん、日本チームスタッフの懸命なリハビリや、痛み止めの注射などの治療のおかげで、個人戦では見事銅メダルを獲得し、団体戦でも負担の少ないダブルスに出場し、銀メダル獲得に貢献しました。
そして、そんな早田選手に対して、早田選手ができることを探りながら練習相手を務め、誰よりも寄り添い、励まし続けたのが、リザーブ(補欠)を務めていた木原美悠選手です。
<ちょっとこの写真を見てください。> …卓球女子団体戦の表彰式後の記念写真
卓球女子団体戦の表彰式の後の記念写真です。団体戦で見事、2大会連続銀メダルを獲得した早田選手、平野選手、張本選手の3人にまじって、木原選手も一緒に写っています。コーチや医療スタッフも一緒に写っています。そして、銀メダルは本当は3人分しかないのに、4人ともメダルをかけています。実は、早田選手がかけているのは、早田選手が個人戦で勝ち取った銅メダルです。早田選手は勝ち取った銀メダルを、木原選手にかけてあげたのです。
裏方として共に戦ってくれた木原選手への感謝の気持ちを込めて、「団体戦の表彰式で、4人でメダルをかけて記念写真を撮りたい。」と強く願った早田選手の行動でした。早田選手自身が、3年前の東京オリンピックで自分自身経験した、リザーブとして、選手の気持ちを考えて支えること、いざという時のために自分も練習すること、見通しの立たない立場の難しさを知っているからこその、木原選手への感謝の姿でした。
常に感謝の気持ちをもって、仲間として協力し、支えあう…銀メダル以上に世界に誇れる、日本チームとしての素晴らしい力を見せてもらった気がしました。
さあ、2学期が始まります。2学期といえば、運動会です。今年の運動会も昨年度同様、「二つの力」を大切にして、「みんなにとって最高に楽しい!」運動会にしてほしいと思います。「二つの力」…皆さんはもう分かっていますよね。そうです。「全力」と「協力」です。精一杯頑張りましょう。
そして、逆に次の2つの言葉は絶対使わないようにしましょう。
一つ目は、「だって」。「だって…〇〇やから…」という、うまくいかない理由を人のせいにしたり、言い訳したりする言葉。
二つ目は、「どうせ」。「どうせ、自分は〇〇やから…」という、自分の力をあきらめてしまう言葉。
「だって」と「どうせ」という言葉が出てこないように、いつも自分をしっかりと振り返りながら、相手の気持ちを考えながら、決してあきらめることなく前向き(ポジティブ)に頑張っていきましょう。
運動会が終わったとき、勝っても負けても、日本卓球女子チームに負けない素敵な学級・学年写真が撮れることを願っています。
これで、校長先生のお話を終わります。長い話をしっかりと聞いてくれてありがとうございました。』
11時半の学年下校。子どもたちを見送った後、1学期と同じように、下駄箱の靴を整えます。
整頓する必要がないくらい、はじめからきちんと整っています。北小の子どもたちの素敵な「普通」…「平常通り」です。明日からまた子どもたちと毎日会えます…とても嬉しい気持ちです。